忍者ブログ
蒼夜の混沌とした頭の中を徒然に書き綴るぺぇじ
[77] [76] [75] [74] [73] [72] [71] [70] [69] [68] [67]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


「はい、どうぞっス」

礼を言って、少年が差し出したカップを受け取る。
中に入っているのは――青い液体だった。

青い。なんか青い。やたらと青い。

ここまで青い飲み物は見たことねぇ。
さすが地球外惑星(推定)。

「どうしたっスか? 飲まないっスか?」

飲んでも平気かどうか悩んでいると、少年が不思議そうに聞いてきた。

「ん、ああ。これ、このまま飲んで平気なのか?」

「平気っスよ。クンの実のジュースっスから、のどが渇いてる時には最高っスよ」

証明するように自分の分に口をつける少年。
どうやら普通に飲めるものらしい。
そうとわかれば、ためらう必要もない。
ありがたく飲ませてもらおう。

「――――ん、おお? なんだこれ。目茶苦茶美味いな」

「そっスか? 実は、これにはちょっと自信があるんスよ」

言うだけあって、マジ美味い。
清涼飲料に近く、口当たりと喉ごしがすげぇいい。
気付けば、カップは空っぽになっていた。

「っぷはー。いや美味かった。ありがとな」

「どういたしましてっス。おかわりはどうっスか?」

「いや、もういいわ。それより、聞きたいことがわりとたくさんあるんだが、いいか?」

「いいっスよ。オレにわかることなら、なんでも聞いてくださいっス。
 えぇっと」

そこまで言って口ごもる少年。

…………そういえば、まだ名乗ってもいなかったな。

「直哉だ。高畑直哉」

「タカハタナオヤっスか。
 家名があるってことは、貴族様っスか?」

「いや、別に貴族ってわけじゃない」

極々一般人だ。

「そうなんすか。でも……」

「俺の生まれた国じゃ、皆名字を持ってるもんなんだよ」

「そうなんスか」

感心したように何度も頷く少年。

「申し遅れたっス。オレはセンギっていうっス」

少年――センギは、何が嬉しいのかにこにこと笑顔を浮かべる。

「センギ、俺何かおかしなこと言ったか?」

「え? ああ、いやいや違うっスよ。ただ、人間と話すのは久しぶりだったっスから」

そうなのか。
まあ、こんな森の中じゃあまり人は来ないだろうしな。

「それじゃ、存分に会話を堪能してくれ。で、聞きたいことなんだが――」

「おとーさん、クンの実がなくなってる~」

俺の言葉を遮るように、子供特有の高い声が響いた。
扉を開けて部屋に入ってきた声の主は、燃えるような赤い髪をした少女だった。
PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード


トラックバック
この記事にトラックバックする:


忍者ブログ [PR]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新コメント
(08/28)
(06/02)
(05/19)
(09/14)
(08/03)
最新記事
最新トラックバック
プロフィール
HN:
蒼夜
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析