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蒼夜の混沌とした頭の中を徒然に書き綴るぺぇじ
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「っ、~~~~!」

声も出ない痛みに、悶絶する。

痛みの走る頭を押さえると、たんこぶができていた。
痛すぎて言葉も出せずに蹲る。
十秒ほどじっとしていると、少しだけ痛みが和らいできた。

「……んなんだよ、ちくしょう」

電信柱に頭をぶつけるという不条理に、愚痴が口をついて出る。
目の奥に映るのは、恒例の光。
……頭をぶつけた原因だ。
前触れなしにいきなり光るのは勘弁してほしい。

「あー……、いてえ」

たんこぶをさすりながら、意識を光へと向ける。

「お。結構近いんじゃないか、これ?」

桃色と翠色と無色の光。
無色の光ってのも変な話だけど、そうとしか言いようがないのだから仕方がない。
とにかく、三つの光が同じ場所に集まっている。
その場所も、そんなに遠くではなさそうだ。
歩いて30分もかからないくらいだろう。

「……行ってみるか。暇だし」




30分後、町は廃墟と化していた。

「……いや、なんでだっ!?」

俺の胴くらいもある木の根が、地面や建物もお構い無しに蠢く。
遥か彼方には、スケールの狂った巨木の姿が。

「おいおい……。なんだよ、これ?」

崩れた建物の上でその光景を見て、呆然と呟く。
街がどんどん壊れていく光景は、あまりに非常識で酷く現実感が無かった。
これで悲鳴が響いていたら軽く地獄絵図だな、と麻痺した頭でぼんやりと思う。

…………まて。

なんで悲鳴が聞こえない?
というか、人がいない?

ショッキングな光景を目にしたせいで今まで気付かなかったが、これだけ街が壊されているのに、悲鳴や怒号のひとつも聞こえてこない。
慌てて辺りを見回すと、人の姿が全く無いことに気付いた。

「マジで、なんなんだよ……」

怖い。
マンガやアニメならよく見るようなシチュエーションだけど、実際に体験するとめちゃめちゃ怖い。

どうしよう。

走って逃げたい気分でいっぱいだけど、迂濶に動くと、あの木の根がこっちに来そうな気がする。
気のせいかも知れないが、試す気にはなれない。
でも、このままじっとしてれば安全、ってわけでもないしなあ。
どうしたものかと途方にくれていると、

「眩しっ!?」

また、あの光が目を焼いた。
眩しさは一瞬で消え、まぶたの裏には三色の光点が残った。

ピンク、翠、青。

三つの光点は、今までで一番近くに感じられる。
その内のピンクから、同色の小さな光が出てきたのが視えた。
何かと思い、ピンクの光点のある方を向くと、

「……は?」

魔法少女がいた。
しかも、クラスメイトだった。

「はああ!?」

衝撃だった。
ある意味、彼方に見える巨木よりも衝撃だった。
追い討ちに、魔法少女――高町が持つ杖から、ぶっといピンクの光が発射された。
ピンクの光線は巨木に向かって直進し、途中にあった根っこや枝を軒並み消し去った。

「ヲイヲイ」

俺の中での高町への評価の変動が著しすぎる。

クラスメイト→魔法少女→魔砲(!?)少女。

小豆相場もびっくりの変動だ。
光線の直撃を受けた巨木に向かって、高町は続けて光の帯を放つ。
光の帯が触れると巨木は発光し、次の瞬間には跡形も無くなっていた。
もう、何がなんやら。
驚くことが多すぎて、正直頭がパンクしそうだ。
ただ、ひとつだけわかることがある。
それは、

「もうここから動いても、問題無いってことだな」

高町に色々と聞きたいことはある。
が、なんかもういっぱいいっぱいだから、今日のところはばっくれよう。
これ以上非常識な事実を知ってしまうと、俺の常識が崩壊の危機だ。
聞いたところで、高町も正直に答えてくれるか分からんし。
機会があれば、その時に問いただそう。うん。
そんな風に言い訳しながら、俺はその場から逃げ出した。

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「うぬぅ……」

机に突っ伏すと、押し出されるように呻き声がもれた。

――……けて――

ん?

「親父、何か言ったか?」

「うん? いや、何も言っていないよ」

「そっか」

空耳か?

唐突だが、魔法というものを信じている小学生はどれくらいいるだろうか。

一年生なら、まだ信じているやつはいるかもしれない。

二年生だと、ほとんどのやつが空想の産物だとわかっているはずだ。

三年生、つまり俺の年になると、もはや常識だろう。

ところが、だ。
俺は今、目の前の光景に常識を覆されている。

同級生が呪文を唱えると光に包まれ、光が収まった時にはさっきまでとは全く違う格好に変わっていた。
その手には、どこから現れたのか、なんというか、こう、リリカルな感じの杖が。

その姿は、簡単に言えば“魔法少女”だった。

「…………えー」

いやー……、何なんだこれ?



チャイムの音が校舎に響く。

今日の授業は全部終わり、今は放課後だ。
既にほとんどのやつが教室からいなくなっている。
俺はといえば、ワケあって未だに席に座ったままだ。

「直人くーん、一緒に帰ろ?」

座ったまま動かない俺に、高町がをかけてきた。
高町の後ろには、バニングスと月村もいる。
学校から帰るときのいつもの面子だ。

「おう。けど、ちょっとだけ待ってくれ」

俺がそう言うのと同時、ポケットの携帯が鳴り出した。
三人に一言断ってから携帯を開く。
メールが一件届いている。
親父からだ。

『直人へ。
 仕事がひと段落ついたから、今日の夕飯は父さんが作るよ。
 楽しみにしててくれ』

読み終えて、携帯をたたむ。
待っててくれた三人に顔を向け、

「うっし、待たせた。それじゃ、帰るか」

そう言って、ようやく席から立ち上がった。





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