蒼夜の混沌とした頭の中を徒然に書き綴るぺぇじ
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「おとーさん。この人、だれ? お客さん?」
「そうっスよ。この人は高畑直哉さん。ちょっと道に迷ったらしいっス」 少女の問い掛けに、頷いて答えるセンギ。 ……今聞き捨てならない単語を聞いた気がする。 「ちょっと待った」 「何っスか?」 「お父さん、ってどういうことだ?」 センギは俺と同じぐらいの年にしか見えない。 少女くらいの年の子供がいるのは、どう考えてもおかしいだろう。 「?」 「いや、そんな不思議そうな顔されても」 「おとーさんはおとーさんだよ?」 「いや、おかしいだろ、年齢的に?」 「???」 またも不思議そうな顔をする少女。 駄目だ。話が通じねぇ。 諦めてセンギの方へ顔を向ける。 野郎、苦笑と微笑みの中間みたいな顔してやがる。 「オレとファリィは血の繋がらない親子なんスよ」 ……ああ、そうか。ちょっと考えればわかることだな。 それに考えが至らないってことは、俺は自分で思ってるよりも混乱しているらしい。 まぁ、気付いたらいきなり見知らぬ土地、しかも地球かどうかも分からない場所に居たんだ。 無理もないだろう。と、自己弁護しておく。 「おにーちゃん、おにーちゃん」 俄かに頭痛すら感じ始めた俺に、少女――ファリィという名前らしい――が呼び掛ける。 「あ、あぁ、なんだ?」 「おにーちゃんは迷子なの?」 「ぐはっ!?」 た、確かに迷子っちゃあ迷子だが……。 こんな小さい子に言われると、情けなくなってくるな。 「いや、まあ、迷子、だな。うん」 ハハハと渇いた笑いが漏れる。 「えぇっと、直哉さんは何処の国の人っスか? 方角が分かれば、近くの街までなら案内出来るっスよ」 そんな俺を見かねたのか、フォローするように尋ねるセンギ。 何処って言われてもな。 一応、聞くだけ聞いてみるか。 「日本って国なんだが、知ってるか?」 「ニホン、スか? う~ん」 思いだそうとしてるのか、こめかみに手をあてて考えるセンギ。 これは、やっぱりあれだろうか。 「すいません。ちょっと聞いたことないっスね」 やはりか。んなこったろーと思ったけどな。 「んじゃ、アメリカとかロシアとかは? いや、むしろ地球ってわかるか?」 続けて質問を重ねる。まあ、だいたい答えは予想できるが。 質問と言うより、確認だな。 「ん~……、どれも聞いたことないっスね」 ほらな。さて、どうしたものか。 「あ~~、とりあえず俺の出身地は置いといてくれ。先に、此所が何処か教えてくれ」 「ここはガーラル火山の麓っスよ」 「ガーラル火山、ね」 ふむ。当たり前だが、聞き覚えはないな。 「ちょっと妙なことを聞くけど、いいか?」 「妙なことっスか? 別にいいっスよ」 それじゃ、遠慮なく。 これはある意味、最終確認だ。 「この世界は、なんていうんだ?」 「この世界の名は、“リークリフ”っスよ」 「……」 ガッテム。マジで異世界決定だな。 出来れば知りたくもなかったが。 「でも、なんでそんなこと聞くっスか?」 訝しげな顔で、疑問の声を上げるセンギ。 そりゃ不思議に思うよな。 普通、自分の生きてる世界の名前を尋ねる奴なんていねぇもんな。 だが、答えは簡単。 「ああ。どうにも、俺はこの世界の住人じゃねぇみたいだ」 PR |
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