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蒼夜の混沌とした頭の中を徒然に書き綴るぺぇじ
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リビングの扉を開くと、食欲をそそるいい匂いが漂ってくる。
テーブルの上に並んでいる朝食が匂いの元のようだ。



「おはようっス、直哉さん」

ぼーっとしていると、部屋の奥からセンギが出てきた。
エプロンらしき前掛けをして、片手にフライパンを持っているところを見ると、
どうやら朝食を作っているところらしい。

むう。少し起きるのが遅かったか。
居候の身としては、手伝いくらいはしたかったんだが。

「おはよう、センギ。悪いな、手伝えなくて」

「あはは、気にしなくてもいいっすよ。直哉さんはお客さんっすから」

そう言われてもな。

「気にするなっていうのは無理だ。こっちは泊めてもらわせてる身だからな。
せめて手伝いくらいはしたい」

働かざるもの食うべからず、っていうしな。
俺の言葉に、センギは笑顔を浮かべた。

「直哉さんはマジメっすねー」

「そうか? 当たり前のことだろ?」

「そういうことが言えるのがマジメなんすよ。まあ、あとでお手伝いを頼むので、
 その時はよろしくお願いするっス」

ふむ。だったらその手伝いを全力で頑張ろう。
ただ飯食らいは申し訳ない上に、プライド的なものがちくちく刺激されるからな。
そんなことを考えていると、いつの間にか席に座っていたファリィに呼ばれた。

「おにーちゃん、おとーさん、ごはんできたからすわって」

見れば、料理は並び終わり、あとは食べるだけのようだ。
……本当に何の手伝いもしてないな、俺。

「おにーちゃん、おとーさん、はやくー」

っとと。反省は後だな。待たせちゃ悪い。
センギ共々、慌てて席につく。

「そういえば、直哉さんは食事前のお祈りはどうしてるっすか?」

席についたら、センギがそんなことを言ってきた。

「お祈り、ねぇ。せいぜい両手を合わせて、いただきます、ぐらいだな」

しっかりとお祈りするやつが友人に一人いるが、俺は信仰心なんて持ち合わせてないしな。

「そうっスか。オレ達は地母神アステア様への感謝のお祈りをするんスけど、
 直哉さんもよければ一緒にどうっスか?」

「あー、別に構わねえけど。どうすればいいんだ?」

「まず、こうやって手を組んで」

言いながら、センギは左右の手を組む。
友人が教会でお祈りするのと同じ感じだ。
同じように手を組んだファリィが言葉を繋げる。

「目をつぶって、アステア様にかんしゃの祝詞をささげるんだよ」

ふーん。キリスト教とさして変わらんな。
つか、よく祝詞なんて言葉を知ってたな。

「今回はオレが祝詞を捧げるっスから、直哉さんは一緒にお祈りしてくださいっス」

「ん、わかった」

両手を組み合わせる。
信仰心は無いが、こういうのは形式だしな。
郷に入れば郷にしたがえともいうし。

俺が手を組むのを待って、センギが目を瞑る。
そして、祝詞を口にする。

「母なる大地の神アステアよ。大地より生まれし糧を頂けることに感謝いたします」

…………。

「はい、いいっスよ。いただきましょう」

「はーい」

「……おう」

センギが言うが早いか、ファリィは早速料理に手をつける。
俺はといえば、ちょっとした驚きの目でセンギを見ていた。

「直哉さん? どうしたっスか?」

「いや……、センギ、まともな喋り方もできたんだな」

てっきり、~っス、としか言えないもんだと。

「そりゃ祝詞を捧げる時はちゃんとするっスよ。これはたんなる口癖っスから」

そんなもんかね。そんなもんなんだろうな。
まあ、別にどうでもいいんだけどな。
それじゃ、朝食をいただくとしますか。

……ちなみに、料理は見たことのないものばかりだった。
味は良かったんだが、青やら紫やら、彩りが鮮やかすぎてちょっと引いた。
旨かったけどな。
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