蒼夜の混沌とした頭の中を徒然に書き綴るぺぇじ
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「ん……」 音が聞こえる。 トントンとリズミカルな包丁の音。 くつくつと鍋がたてる音。 新聞をめくる音。 そして、俺を起こす声が―― 「朝だよ。起きて、おにーちゃん」 ――そう、おにーちゃん…………おにーちゃん? おかしな呼びかけに、閉じていた目を開いた。 目に入ったのは夢で見た朝の光景ではなく、見慣れぬ部屋の天井だった。 天井を見ながらぼーっとしていると、視界に赤い影が割り込んできた。 「うお!?」 「おはよう、おにーちゃん」 赤い影はファリィだった。 ファリィの姿を見て、自分が今何処にいるのかを思い出した。 …………ちっ、夢オチじゃなかったか。 少なからず夢であって欲しいという願望があったのか、軽くへこむ。 とはいえ、へこんでいても始まらない。戦わなきゃ、現実と。 さしあたってするべきことは、ファリィに挨拶を返すことだろうか。 「おはよう、ファリィ。悪かったな、わざわざ起こしてもらって」 「うん。おにーちゃん、お寝坊さんなんだね。ぜんぜん起きないんだもん」 う。 「いや、ホントに悪かった。サンキュな」 「サンキュ?」 首を傾げるファリィ。 そういや、こっちには無い言葉だったか。 「礼の言葉だ。ありがとうって意味だよ」 「そうなんだー」 納得したのか大きく頷くファリィ。 動作の一つ一つがいちいち大きいのが、子供らしくて微笑ましい。 「それじゃ、どういたしましてだね。朝ごはんできてるから、はやく起きてきてね」 そう言って部屋を出ていくファリィに手を振って答える。 さて、それでは起きるとしますか。 PR |
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