忍者ブログ
蒼夜の混沌とした頭の中を徒然に書き綴るぺぇじ
[99] [98] [97] [96] [95] [94] [93] [92] [91] [90] [89]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


「ん……」

音が聞こえる。

トントンとリズミカルな包丁の音。
くつくつと鍋がたてる音。
新聞をめくる音。

そして、俺を起こす声が――

「朝だよ。起きて、おにーちゃん」

――そう、おにーちゃん…………おにーちゃん?

おかしな呼びかけに、閉じていた目を開いた。
目に入ったのは夢で見た朝の光景ではなく、見慣れぬ部屋の天井だった。
天井を見ながらぼーっとしていると、視界に赤い影が割り込んできた。

「うお!?」

「おはよう、おにーちゃん」

赤い影はファリィだった。
ファリィの姿を見て、自分が今何処にいるのかを思い出した。
…………ちっ、夢オチじゃなかったか。
少なからず夢であって欲しいという願望があったのか、軽くへこむ。
とはいえ、へこんでいても始まらない。戦わなきゃ、現実と。
さしあたってするべきことは、ファリィに挨拶を返すことだろうか。

「おはよう、ファリィ。悪かったな、わざわざ起こしてもらって」

「うん。おにーちゃん、お寝坊さんなんだね。ぜんぜん起きないんだもん」

う。

「いや、ホントに悪かった。サンキュな」

「サンキュ?」

首を傾げるファリィ。
そういや、こっちには無い言葉だったか。

「礼の言葉だ。ありがとうって意味だよ」

「そうなんだー」

納得したのか大きく頷くファリィ。
動作の一つ一つがいちいち大きいのが、子供らしくて微笑ましい。

「それじゃ、どういたしましてだね。朝ごはんできてるから、はやく起きてきてね」

そう言って部屋を出ていくファリィに手を振って答える。

さて、それでは起きるとしますか。
PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード


トラックバック
この記事にトラックバックする:


忍者ブログ [PR]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新コメント
(08/28)
(06/02)
(05/19)
(09/14)
(08/03)
最新記事
最新トラックバック
プロフィール
HN:
蒼夜
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析