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蒼夜の混沌とした頭の中を徒然に書き綴るぺぇじ
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「うぃーす」
「ああ。久しぶりだな」
「あー、まあな。ちょっと拉致られてたからなぁ」
「ずいぶんと物騒だな」
「まぁなぁ。でも相手は世界の守護者だからな。さすがに断れねぇわ」
「守護者か。一体誰に呼び出されたんだ?」
「“真昼の月”だ」
「それは……、災難だったな」
「ま、報酬はしっかりもらったからいいんだけどな」
「貰えたのか?」
「おぅ。50万ヴァルゴな」
「それは、命懸けの報酬として妥当なのか?」
「……まあ、貰えないよりかは、なぁ?」
「それはそうだな。どこぞの魔剣使いはほぼただ働きらしいからな」
「柊のやつだな。今回、協力したぞ」
「……またか。哀れな」
「あいつもかなりのベテランなんだけどなぁ。どうにも振り回されてる感があるよなぁ」
「相手が“真昼の月”ではな。仕方があるまい」
「まあな。でも、今回は柊が一緒でよかったわ。
 さすがに魔王は一人じゃ相手できねぇし」
「魔王級があいてだったのか」
「おう。ラース・フェリアとかいう世界のな」
「ああ。あの週に一度のペースで世界の危機が起こる世界か」
「しんどかったぜ~。なんせ、持って行った装備のほぼ全部を使ったからな。
 経費で落ちなかったら、大赤字だ」
「魔王が相手ではな。生きて帰れただけでたいしたものだ」
「そりゃそうだ。つっても、報酬以外に得たものもあったし、まったく割に合わなかったわけでもねぇんだけどな」
「ほう、それは良かったな」
「おう。まあ、あんまり頻繁に呼ばれるのは勘弁だけどな」
「ふ。それはそうだ。魔王級とやり合うなど、俺なら一度だけであっても御免こうむる」
「まぁなぁ。
 っと、それじゃ俺はこれからバイトだからな」
「ああ、それではな」
「ああ。んじゃ、お前も頑張れよ」
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「あ~~~。何で正月はどこ行っても混んでるんだよ」
「…………そうだな」
「ど、どうした? なんか目茶苦茶ぐったりしてるぞ?」
「…………ああ。昨日、かなり面倒臭いことがあってな」
「そんなに疲れてるのは珍しいな。
 何があったんだ?」
「……ああ。紅世の徒と一戦やらかした」
「へぇ。あいつらに関わるってのも珍しいな」
「成り行きでな。いや、面倒だった」
「あ~、お前と相性悪いからな~」
「ああ、キツかった。間の悪いことに、フレイムヘイズとも遭遇してな」
「げっ、まじか。俺達とあいつら、仲悪ぃからな」
「しかも二つ名持ちだったからな。逃げ切るのに苦労した」
「ほんっとについてねぇな。二つ名持ちって、一体誰よ?」
「……“万丈の仕手”だ」
「うわ、結構きついな」
「残った徒を全部押し付けて逃げてきたんだか、次は下手打つと逃げ切れないかもしれん」
「普通に殺す気でくるからな、あいつら」
「……俺もしばらくはフル装備でいるべきか」
「……ま、まあ、お互いに頑張ろうや。俺も手が空いてたら助けに行くからよ」
「ああ。悪いな」
「気にすんな。代わりに、俺がお前の従姉妹に追いかけられてる時、助け――」
「さて、そろそろ帰らねばな」
「って、おい――」
「では、またな」
「待てやコラーー!?」
「………………………………」
「……大丈夫か?」
「……いやムリ。もう限界」
「死にかけているな。ムリも無いが」
「人間の欲望の数ってのは、108個じゃなくて108種類なんだよな~~」
「108個くらいですむならば、俺達も苦労しなくていいんだがな」
「な~~」
「一晩中だったからな」
「もうかけらも体力残ってねぇよ」
「ふ。まあ、お疲れ様ということでこれでも食え」
「あ~~? 何だそれ?」
「おせちだ」
「おぉ!? どうしたんだよ、これ?」
「母と従姉妹が送ってきたらしくてな。つい今し方届いた」
「……毒とか入ってねぇよな」
「安心しろ。お前と組んでいることは言っていない」
「そか。ならいいや。ありがたくいただこうぜ」
「ああ。それと、治療もきちんとしておけよ。深い傷もいくつかあるぞ」
「こんぐらい平気だって。それより早く食おうぜ」
「消毒くらいはしておけ。折角のおせちが汚れる」
「ちっ、わーったわーった。そこの治療符とってくれ」
「ああ。ほら」
「サンキュ。……っと、そうだそうだ」
「どうした?」
「あけましておめでとう。
 来年もよろしくな」
「ああ。おめでとう。
 来年もよろしく」
「世界の理とはすなわち速さだと思いませんか?」
「今度もまたいきなりだな。どうした?」
「どうした、だと? どうしたもこうしたもあるか!
 この三日間、お前の従姉妹に追いかけ回されてたんだよ!」
「そうか、ご苦労だな」
「苦労しまくったわ!?
 装備の内3割が役に立たねぇんだぞ!?
 普通に三、四百年クラスの実力だぞ、あんなん」
「どうにも適性が高かったらしくてな。既にあいつを噛んだ“親”よりも強いらしい」
「…………バケモンか、お前の従姉妹は」
「名実共にな。しかし、よく逃げ切れたな。一度くらいは捕まるかと思ってたんだが」
「はっ、なめんな。っつーか、そう思ってたんならちっとは手ぇ貸せよ」
「いやなに、邪魔すると後が怖いからな。俺はお前程頑丈ではないんだ」
「よく言うぜ、ったく」
「許せ。今度夕飯でも奢るから、それでチャラにしてくれ」
「なら寿司奢ってくれ」
「回転寿司でいいならな」
「ちっ。まあ、それでもいいや。じゃあ、今度な」
「ああ。それはともかく、明日の準備は出来てるのか?」
「準備? 何のだ?」
「…………。明日は何月何日だ?」
「えーっと……おぉ! 12月31日、大晦日か」
「そうだ。大晦日は忙しいだろう、色々と」
「ああ、確かにな。色々と忙しいわな」
「で、準備は出来てるのか?
 聞くだけ無駄な気もするが」
「ぐ……。い、いいんだよ。
 俺はその気になれば道具無しでもなんとかなるからな」
「いや、無理だろう。一晩中、身一つでは、途中で力尽きる」
「う……。いやな、わかってはいるんだよ。けどな、その、先立つものがな」
「ああ、金が無いのか」
「そのとおり」
「ふむ。……試作品でよければ分けてやれるが」
「マジ!? 是非分けてくれ!」
「わかった。明日現場に持って行こう」
「サンキュー。本気で助かるわ」
「ああ。…………まあ、“博士”からの試供品なんだがな
「おい!? 今ぼそっと何言った!?」
「では、また明日」
「うおぉぉぉぉい!?」

「ぅ俺は人間をやめるぞーー!!」
「……今度は何だ。遂に頭が膿んだか?」
「…………。お前、今日は毒舌ひどくね?」
「昨日、少しあってな。
 それで、今回は何なんだ?」
「あぁ。実は昨日、吸血鬼に襲われてな」
「……吸血鬼?」
「おう。バイト帰りにいきなりな」
「それで、吸われたのか?」
「んなわけねーだろ。不意打ち一発入れて、全力で逃げた」
「逃げ切ったのか、吸血鬼相手に」
「まあな。場所がよかった。あの辺は俺の庭みたいなもんだからな」
「他の場所だったらまずかったか?」
「ああ。装備も無しに吸血鬼から逃げ切る自信はねぇな」
「そうか。……いや待て。装備無しと言うが、“火紅遣”はどうした?」
「ん、ああ。メンテに出してる。この間ちと無茶しちまったからな。しばらくかかるらしい」
「そうか。となると、“火紅遣”が戻ってくるまで常にフル装備でいるべきだな」
「なんでだ?」
「お前を襲った吸血鬼、な」
「あぁ」
「あれな、俺の従姉妹」
「……………………あんですと?」
「昨日から家に来ててな。乱暴な男に殴られたと憤慨していたぞ」
「げ」
「かなり根に持っているようだからな。しばらくは警戒を続けた方がいいぞ」
「マジで?」
「ああ」
「お前から何とか言っといてくれねぇ?」
「…………すまん」
「何故顔を背ける!?」
「あいつを止めるのは、俺には不可能だ。諦めろ」
「……何とかならねぇ?」
「……何ともならんな」
「……わかった。なるべくフル装備でいることにするわ」
「ああ。だいたい一月くらいの辛抱だ。頑張れ」
「……ぉぅ。それじゃな」
「ああ、またな。…………生きていならな」
「別れ際に不吉なこと言うなよ!?」


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