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蒼夜の混沌とした頭の中を徒然に書き綴るぺぇじ
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チャイムの音が校舎に響く。

今日の授業は全部終わり、今は放課後だ。
既にほとんどのやつが教室からいなくなっている。
俺はといえば、ワケあって未だに席に座ったままだ。

「直人くーん、一緒に帰ろ?」

座ったまま動かない俺に、高町がをかけてきた。
高町の後ろには、バニングスと月村もいる。
学校から帰るときのいつもの面子だ。

「おう。けど、ちょっとだけ待ってくれ」

俺がそう言うのと同時、ポケットの携帯が鳴り出した。
三人に一言断ってから携帯を開く。
メールが一件届いている。
親父からだ。

『直人へ。
 仕事がひと段落ついたから、今日の夕飯は父さんが作るよ。
 楽しみにしててくれ』

読み終えて、携帯をたたむ。
待っててくれた三人に顔を向け、

「うっし、待たせた。それじゃ、帰るか」

そう言って、ようやく席から立ち上がった。








「でもアンタ、大丈夫なの?」

四人での帰り道の途中、バニングスがそんなことを言い出した。

「何がだ?」

「アンタ、いつもだったら、そろそろ走って帰る頃じゃない」

「直人くん、いつも途中で先に行っちゃうもんね」

バニングスと月村が続けて言う。
たしかに、いつもだったら走って先に行く時間だ。

スーパーに。
夕飯の材料買いに。

……なんか、小学生としては間違っている気がしないでもないが。
仕方ないのだ。
なぜなら、俺がやらないと、やる人間がいないから。
親父は基本的に仕事で忙しいし、兄貴は頻繁に厄介事に巻き込まれるのであてにできない。
飯抜きになりたくなければ、自分で何とかするしかないのである。
とはいえ、

「今日は親父が飯作ってくれるらしいからな。急いで帰る必要はねぇし」

珍しいことにな。

「へ~。おじさんがごはん作るんだ」

「おう、ホント久々にな」

「って、直人のパパって料理できたの!?」

何故そこまで驚く、バニングス?

「出来るもなにも、うちで一番料理が上手いのは親父だぞ。以前、うちで出したおやつのクッキー。あれも親父が作ったやつだし」

「「「ええ!?」」」

バニングスだけでなく、揃って驚きの声を上げる三人娘。
仲いいな、お前等。

「あのクッキー、おじさんが作ったの!? うちのとおんなじくらい美味しかったよ!?」

「おー、それを聞いたら親父喜ぶわ」

高町の家は喫茶店をやっていて、その評判はすこぶる良い。
それと同じくらいの味ってのは、なかなかにすごいんじゃないだろうか。

そんなことを話しながら歩いていると、


――……けて――


何か、聞こえた気がした。

「なあ、今何か聞こえなかったか?」

「何かってなによ?」

「別になにも聞こえなかったよ?」

どうやら、バニングスと月村には聞こえなかったらしい。
一人返事をしなかった高町にも聞こうとしたところで、


――助けて……!――


「!」

また聞こえた!
しかも、さっきよりもはっきりと。
とっさに、声の聞こえてきた方へと方向転換。

「ちょっと! ふたりともどこいくのよ!」

バニングスの言葉で、高町も俺と同じ方へ進んでいるのに気がついた。
高町は謎の声に気を取られているようなので、バニングスには俺が返事をする。

「なんかな、こっちから声が聞こえてきたんだ」

わりと切羽詰まった感じの。
俺の感覚が確かなら、声の主はかなりやばい状態のはずだ。
以前、疲労困憊のうえ全身打撲な状態の兄貴が出していた声が、ちょうどこんな感じだった。
少なくとも、助けが必要な程度には大変な状態なんだろう。
だとしたら、さすがに放っておくワケにはいかないだろ。

「たしか、この辺から聞こえたはず……」

周囲を見渡すが、人の姿は見あたらない。
その代わりとでもいうように、ぼろぼろな姿の動物がいた。

「何だ、こいつ? ……イタチか?」

そのイタチ(仮)は近づいてきた俺に気付いたのか、よろよろと顔を持ち上げた。

「……直……人、くん。その、子……は?」

様子を見ようとイタチ(仮)に手を伸ばしかけたところで、息も絶え絶えな高町が話しかけてきた。
どうやら、気付かないうちに追い抜いてしまったらしい。
不得意な運動に息を荒げながらも、イタチ(仮)を見つけて心配そうな顔をする高町。
息が整うのを待つのももどかしそうに、イタチ(仮)を抱き上げようと手をのばす。
イタチ(仮)は警戒するでもなく抱き上げられ――、力尽きたように気を失った。

「た、大変! どうしよう、直人くん!」

どうしようもくそも、

「とりあえず、病院だろ。バニングス、月村、この辺に獣医ってねえか?」

追いついてきた二人に尋ねる。
二人とも何匹も犬猫を飼ってるんだし、獣医の場所くらい知ってるだろ。
ちなみに、俺は知らん。動物を飼うような余裕はないし。

「いきなりなにを……って、どうしたのよその子!」

「さあ? 強いて言うなら、行き倒れか? で、獣医の場所は?」

「あ、うん。あっちにあるよ」

「さすがだ、月村。んじゃ、さっさと病院に連れていこう。見た感じ、そんなに余裕はなさそうだ」

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