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蒼夜の混沌とした頭の中を徒然に書き綴るぺぇじ
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「ただいまー」

「む。戻ったか、燐火」

「あ、ただいま鷹火従兄さん」

「おかえり。しかし、吸血鬼化したのはわかっているが、深夜に出かけるのはやはり賛成出来んな」

「何よ、まだ納得してなかったの?」

「それはそうだろう。若い女性が一人で深夜にでかけているんだ。従兄弟としては心配するに決まっている」

「わたしは吸血鬼よ? 変質者ぐらいなら丸めてぽいよ」

「強いとか弱いとか、そういう問題でもないだろう。可能ならば、俺が付いて行きたいところだが……」

「心配性ね、従兄さんは」

「笑いごとではないんだがな」

「ごめんごめん。でも、従兄さんは忙しいんだから、そういうわけにはいかないでしょ?」

「むぅ……」

「ここしばらく収穫もないし、危ない事なんてホントにないわよ」

「それは収穫があれば危険もあるということなんだが」

「まー、それはしょうがないわよ。わたしが追ってる相手が相手だもの。虎穴に入らずんば虎児を得ず、よ」

「虎の子が欲しいのなら猟師に頼むべきだろう。素人が手を出すと怪我をする」

「それはそうかもしれないけど、だからって人任せには出来ないわよ」

「けじめ、か……?」

「そ。アイツはわたしが滅ぼすわ。そうしないと、きっとわたしは前に進めないから」

「……」

「……」

「ふぅ……、わかった。燐火の好きにするといい」

「ええ」

「ただし」

「?」

「危なくなったら、いつでも助けを呼べ。何処にだって駆け付ける」

「従兄さん……!」

「約束しろ。危なくなったら俺か、天夜に連絡を……」

「待って。なんでそこであいつの名前が出てくるのよ?」

「天夜は頼りになるぞ」

「え~~」

「現に燐火から逃げ切っただろう」

「それは! ……そうだけど」

「だろう」

「でも、別にあいつじゃなくても……」

「天夜は俺の知り合いの中では、かなり腕か立つ方だぞ。何かあった時は、腕の立つ奴の方がいいだろう」

「そ、それはそうだけど」

「……燐火は天夜のことが嫌いなのか?」

「嫌いっていうか……、まあ印象は良くないわね。初対面が悪かったし」

「まあ……、殴られてるしな」

「そうよ! おまけに、顔を合わせたら逃げるのよ」

「やたらと警戒していたからな、天夜。そもそも、何故そんなことになったんだ? 天夜は理由もなく女性を殴るような奴ではないんだが」

「あー、あれよ。……不幸な誤解ってやつね」

「ふむ。一体何を誤解したのだ?」

「初めて会った時にね、あいつから血の匂いがしてたのよ」

「恐らく、“祭”か“仕事”の後だったのだろうな」

「今ならそうってわかるけど、当時はこっちに来たばっかりだったし。そんな奴が真紅の槍を担いでたら、勘違いしたって仕方ないでしょ?」

「まあ、理解は出来るな。それで、どうしたんだ?」

「蹴った」

「……なに?」

「取り押さえようと思って、こめかみ狙って蹴りつけたの」

「燐火……」

「や、もちろん加減はしたわよ。一応、一般人だったら困るし」

「だからといって……」

「いいじゃない、当たらなかったんだし。おまけに反撃までもらったわよ。しかも、こっちを吹き飛ばしたらすぐに逃げたしたし」

「ああ、戦うには装備が心もとなかったらしい。前に愚痴られた」

「まったく、うら若い乙女をなんだと思ってるのかしら」

「吸血鬼だろう」

「それはそれ、これはこれよ。ところで従兄さん、時間いいの?」

「む。そろそろまずいか。では行ってくる」

「行ってらっしゃーい」

「ああ。……燐火」

「ん、なに?」

「ちゃんと鍵をかけておくように」

「はいはい。わかってるわよ」

「うむ。では、行ってくる」

「気をつけてねー」
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「うおおぉぉぉ!」
「……」
「ぐううぅぅぅ!」
「……」
「おぉりゃあぁぁぁ!」
「……何をしてるんだ、天夜?」
「ああ? 見りゃわかんだろ」
「ふむ。俺には、鉄板のような馬鹿でかい剣を持ち上げようとしているように見えるが」
「分かってんじゃねぇか」
「一体どうしたんだ、この剣は? いや、そもそもこれは本当に剣なのか?」
「おう。人類の限界ギリギリの規格のグレートソードだ」
「たしかに“グレート”ではあるな」
「どこぞの神官戦士が使ってるのを見てな。“博士”に作ってもらった」
「ああ、なるほど。あの人なら、喜んで作りそうだ」
「そういうこった。嬉々として作ってたぞぉぉぉ!」
「で」
「あぁ?」
「持ち上がらないのか?」
「はっ、なめんな。俺にかかればこれくらい……」
「……」
「……」
「……上がらないんだな?」
「どちくしょおぉぉぉ!」
「しかし、天夜に扱えないほど重い剣を使うとは。その神官戦士は、余程の筋力の持ち主だな」
「女だったけどな」
「む?」
「しかも、少女って言われるくらいの年齢だった」
「は?」
「自信無くすぜ」
「う、む。いや、それはあくまで例外だろう」
「まあ、そうなんだがな。俺も腕力には自信あったんだけどなぁ」
「“強化”を使えば、扱えるだろう?」
「そりゃな。斬艦刀でも無いかぎり、扱えない武器はねぇよ。
 けどな、“強化”を使うと、なんか負けた気分になんだよなぁ」
「プライドの問題か」
「おうよ。鷹火も挑戦してみるか? いや、むしろ挑戦しろ」
「強制か。別に構わないが」
「よし。ほれ」
「む。…………無理だな、これは」
「諦めんの早ぇなオイ」
「そもそも、天夜に持ち上げられないものを俺が持ち上げられるわけないだろう」
「鷹火は武器使わねぇもんなあ」
「術がメインだからな」
「しっかし、どうすっかなコレ」
「まぁ、一応とっておいたらどうだ。誰か使える奴がいたら、くれてやればいい」
「そうだなぁ。使える奴がいたら、幾らかで売っ払うか」
「……タダで譲るわけではないのか」
「あったりまえだ。作るの高かったんだぞ」
「もう少し金の使い方は考えた方がいいぞ」
「わかっちゃいるんだけどなー。とりあえず、金稼いでくるわ」
「“仕事”か?」
「いや、たんなるバイトだ。んじゃ、遅刻するからもう行くな」
「ああ、行ってこい」
「俺の拳が光って唸る~♪」
「えらくご機嫌だな、天夜」
「おう。……って、どうした。いきなり名前で呼んだりして?」
「ああ。そろそろ名前を決めた方がいいと作者が思ったからたまにはいいだろう」
「メタなことを……。まあいいや。それなら、お前も名前で呼んだ方がいいか。なあ、鷹火(おうか)」
「そうだな。その方が区別しやすい呼びやすい方で構わん」
「鷹火……。今日はやたらメタ発言が多いな、オイ」
「ふむ……。……少し術式を失敗したからな。そのせいかもしれん」
「……いや、関係あるのか、それ?」
「無いことも無い。失敗したのは召喚の術式だったからな。どこか変な場所に繋がった可能性もある」
「危ねえなぁ。眠れる邪神とか起こしたりすんなよ?」
「善処しよう。それで話は逸れたが、機嫌が良さそうだったのは何かあったのか?」
「おう。ちょっと用事で池袋まで行って来たんだけどな。そこでおもしろい催しがやってたんだよ」
「天夜がおもしろいと言うものだと……、格闘関係か?」
「当たりだ。バイパーズレイブっつうアマチュア挌闘家達の集いだ」
「それはまた、天夜が好きそうな催しだな。当然、参加したんだろう?」
「おう。参加資格とかは無いらしくてな。途中から飛び入り参加だ。いやー、楽しかった」
「それはなによりだ。しかし、天夜の相手になるような奴などいたのか?」
「おう。何人かおもしろい奴等がいたぜ」
「天夜をしておもしろいと言わせるような奴が、何人もいるのか。……凄まじいな」
「高校生くらいのやつが多いんだけどな。中でも、草薙静馬ってのがずばぬけてたな」
「ほう。……闘ったのか?」
「おう。引き分けた」
「何……? それは、本気でたいしたものだな」
「神威の技を使ってたしな。武器無しならこんなもんだ」
「高校生で神威を? ……それは放置していてもいいのか?」
「あー……。ま、平気じゃね? そんな悪い奴じゃねぇし」
「……ふぅ。楽観的だな」
「不満か?」
「いや、天夜がそう言うのならば、それでいい」
「そか?」
「ああ」
「そか。んじゃ、俺はそろそろ行くわ。次の仕事や“祭”の準備しなきゃなんねぇからな」
「ああ。では、またな」
「おう。またな」


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