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蒼夜の混沌とした頭の中を徒然に書き綴るぺぇじ
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「…………」

「だいじょーぶ、おにーちゃん?」

「…………」

心配そうなファリィに震える手を振って、何とか返事をする。





数度ひらひらと振ると、ぱたりと力尽きる。
ち、力が入らん……。
今は、全身疲労でテーブルに突っ伏している状態だ。
何故こんなことになったかと言うと、

「何の訓練もなしに竜に乗るのは無茶っスよ。落ちたりしなかっただけ、運が良かったっス」

苦笑するセンギの言うとおり、ファリィに乗せてもらったのが原因だ。
ものすごい風圧を受けながら振り落とされないように掴まっているのは、中々に重労働だった。
掴まっていた腕だけじゃなく、全身が乳酸まみれだ。
しかも、ファリィは手加減して飛んでくれてたらしい。

「ファリィが本気で飛んだら、直哉さん、今頃ばらばらになってるっスよ」

「……ばらばら?」

「ばらばらっス」

ぬう。ドラゴン恐るべし。
まあでも、

「よかったらまた乗せてくれな、ファリィ」

それまでには身体鍛えとくから。

「うん、いいよー」

「って、本気っスか、直哉さん!?」

「おう、本気だ」

「そんなへろへろになったっていうのに、なんでまた」

なんでって、そりゃあ、

「大空を飛ぶのは、男のロマンだからさ」

おまけに、乗るのがドラゴンときてる。
爽快感は飛行機の比じゃない。
是非とも、もう一回飛びたい。
出来れば、一度と言わず何度でも!

「直哉さんは変わり者っスねー」

力説したら、呆れと感心が半々くらいの目で見られた。

「普通は竜に乗ったら、もう一度乗りたいなんて言わないっスよ」

そうなのか?
折角大空を飛び回れるのに。

「まあ、そもそも普通の人は竜を怖がるっスから。乗ろうとすら思わないっスよ」

「ふーん」

そんなもんかね?

「直哉さんはどうっスか?」

「どうって、何が?」

「ファリィの、竜のことを、怖いと思うっスか?」

そう言うセンギは顔は笑っていたが、目が凄い真剣だった。
でもなぁ。そんなこと言われてもなぁ。

「ファリィ以外の竜は知らねえから、竜が怖い生き物かどうかはわかんねえよ」

多数のうちの一人(一頭?)を見ただけで、全体の評価は出せねえだろ。

「それじゃ」

「わたしはどう? こわい?」

センギの言葉にかぶせるように、ファリィが聞いてくる。
でも、

「聞かなくてもわかってるだろ、その顔は」

にこにこと笑ってまあ。

「別にファリィのことは怖くねえよ。竜の姿になった時は驚いたけど、それだけだ」

「そうっスか……。直哉さんは本当に変わってるっスね」

そうかあ?

「ファリィみたいな可愛い娘を怖がるやつは、そういないだろ」

「えへへー。おとーさん、おとーさん。かわいいだってー」

照れ笑いをしながら、センギに抱きつくファリィ。
顔を隠すように、センギの胸に押し付ける。

「よかったっスね、ファリィ」

そう言ってファリィの頭を撫でるセンギは、安堵の表情だった。
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